学費スライド制には2種類があり、消費者物価指数の上昇率に沿って学年ごとに金額を見直す「物価指数スライド制」と、初年度の学費を低く設定し、2年次以降に金額を上乗せする「年次スライド制」があります。特に「物価指数スライド制」は本来、物価の値段が下がるデフレ環境下においては学費も下がるはずですが、値下げする大学はごく少数。特に受験生に人気のある大学で学費は着実に上昇しており、ここ5年間の私立大学の値上がり幅が1%なのに対し、大規模有名校38大学、60学部の平均は3%となっています。
関西を代表する総合大学であるA大学とB大学の学費を比較してみましょう。A大学は典型的な学費スライド制を実施している大学で、B大学はスライド制を実施していない大学です。表1は文系学部の比較です。初年度納入金だけをみれば11万6,000円もB大学の方が高額ですが、4年間の総額になると逆転しています。表2は同じ大学の理系学部を比較した場合です。こちらの初年度納入金はほぼ同額ですが、4年間の総額ではなんと70万円近くの差が出ています。学費は初年度納入金だけで比較するのではなく、卒業までの総額で比較することが望ましいといえるでしょう。
受験費用や新生活準備費用など、初年度は何かと物入りです。しかも日本学生支援機構の奨学金は入学後にしか支給されません。
初年度納入金を安くすることで、入学前にかかる経済的負担を軽減することができます。
現在のような不況下では、家計の収入はこれからますます減少する可能性があるのに反して、学費は上昇し続けます。
このため入学から卒業までの総額で資金繰りを計画しておかないと、家計の圧迫は避けられないでしょう。